抵当権の債務者と所有者が異なる不動産を相続！関係を整理する方法とは？

親から事業を相続し、その事業を継続したいと考えている方は、事業承継を進める中で、相続した不動産に抵当権が設定されていることに気づき、所有者と債務者が異なる場合、どのように手続きを進めれば良いのか悩んでいるかもしれません。
今回は、所有者と債務者が異なる不動産を相続する場合の手順を解説し、所有者と債務者の関係を整理する方法をわかりやすく説明します。

 

抵当権の債務者と所有者が異なる不動産の相続について

不動産を相続する際に、所有者と債務者が異なる場合、相続手続きが複雑になることがあります。
こうした状況では、適切な登記手続きを理解し、円滑に進めることが重要です。

1. 債務者変更登記

債務者変更登記は、抵当権における債務者を変更するための手続きです。
相続した不動産の所有者と債務者が異なる場合、相続人はこの登記を行うことで、新たに債務者としての責任を引き継ぐことになります。
この登記を行うには、金融機関など債権者の同意が必要であり、債権者との協議を通じて手続きを確認しなければなりません。
 

2. 指定債務者合意の登記

指定債務者合意の登記は、抵当権の債務者を特定の者に限定する手続きです。
不動産を相続した際、相続人はこの登記を行うことで、事業を継続する者を債務者として指定することが可能です。
この場合も、金融機関などの債権者の承諾が必要であり、協議を通じて条件を確認する必要があります。
 

3. 相続登記

相続登記は、不動産の所有権を相続人に移転する手続きです。
この登記を行うことで、相続人が正式に不動産の所有者となります。
債務者変更登記や指定債務者合意の登記と併せて実施する必要があります。

抵当権付き不動産の相続放棄

事業を継続せず、相続した不動産の抵当権を抹消したい場合は、債務の完済や相続放棄など、いくつかの選択肢があります。
 

1: 債務の完済

債務の完済とは、抵当権の債務をすべて返済することです。
債務を完済することで、抵当権が抹消されます。
ただし、債務の額が大きい場合は、現実的に難しい場合もあります。
 

2: 相続放棄

相続放棄とは、相続人が相続財産を受け継がないことを放棄する手続きです。
手続きを行うことで、抵当権の債務を負うことを回避することができます。
相続放棄は、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

3: 不動産の売却

不動産を売却することで、抵当権の債務を返済することができます。
売却代金で債務を完済し、残ったお金を相続人へ分配することができます。
ただし、不動産の売却には時間がかかる場合があり、市場価格が低い場合は、債務を完済できない可能性もあります。
 

まとめ

所有者と債務者が異なる不動産を相続する場合は、債務者変更登記や指定債務者合意の登記など、必要な登記手続きを理解することが大切です。
事業を継続しない場合は、債務の完済や相続放棄、不動産の売却など、選択肢を検討し、最適な方法を選びましょう。
当社をはじめとした専門家に相談することで、手続きをスムーズに進めることができます。